象の足にデーモン・コア…悪名高い超危険な放射線事件の悲劇解説

atomjiken7

放射性物質の核分裂反応を利用してエネルギーを得る「原子力発電」や、核分裂反応の実態をたしかめるための実験には、おびただしい数の人命が失われてきたという歴史的事実があります。

歴史上でも特に悪名高い、「チェルノブイリ原子力発電事故」から生まれた「象の足」と、研究者の命を奪った「デーモン・コア」について調査したので、分かったことを報告します。

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現在進行形で近づくだけで死に至る「象の足」

チェルノブイリ象の足

チェルノブイリ象の足

チェルノブイリ象の足

例えに用いられる動物の象の足

チェルノブイリ象の足

「象の足」とは
事故で制御を失った核燃料が高温によって溶けて、それがコンクリートなどと混ざって固まった物体。

常時、致死レベルの高線量の放射線を放ち続けていて、誰も近づけず、手が付けられない。

象の足に含まれる
放射性物質の主成分は「プルトニウム」。
象の足の放射線量は80sv/h(1時間当たり80シーベルト)と言われている。




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「チェルノブイリの宝石」というのは、
線量が高すぎて近寄れない象の足を、遠距離から銃で同じ箇所を何度も撃ち、
象の足の破片をマジックハンドで回収したもの。
緑がかった透明な物体で、もの凄く綺麗だったらしい。
それが「チェルノブイリの宝石」と名付けられている。
もちろん、チェルノブイリの宝石は強い放射能をもつ放射性物質だから、非常に危険。

「防護服」を着て作業すれば?
って意見もあるけれど、
防護服は、空中を舞う「放射性物質のチリ・ホコリ」を生身に近寄せないためのもの。
空間中に放たれ続ける放射線に対してはほぼ無力なので、防護服を着ていても放射線は防護服を通り抜けて普通に被曝する。

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「リクビダートル」という、
原子炉から放射性物質がまき散らされ続ける地獄の状況下で、なりふり構わず多くの人命を使い捨てた異常事件。

事故が起こったチェルノブイリ原発に、放射線の危険を知らされずに投入されたがれき除去作業員の呼称が「リクビダートル」。
その数は、60万人から80万人。




チェルノブイリ原子力発電所事故の簡単解説

事故が起こったのは、原子炉のストレステスト中に、作業員の操作ミス・原子炉の特性の2つが組み合わさって、予期せぬ事態が起こり、爆発が起こったのが原因。

事故が起こったのは1986年4月26日。

原子炉で爆発が起こった流れ

  1. 本来ならば、原子炉の定格熱出力の20-30%へ下げてから実験をするだったはずが、原子炉内に蓄積したキノセン135が中性子を吸収したことと、オペレーションミスが重なって定格熱出力の1%まで下がってしまった↓
  2. 熱出力を回復させるために、「制御棒」を次々と抜いて原子炉内の核分裂反応を増大させて、定格熱出力の7%まで引き上げた↓
  3. 炉心の反応を止めるための「制御棒」がいちじるしく少ない、不安定状態で実験を開始↓
  4. 実験開始後、急激に原子炉の温度が上昇し、即座に危険な状態になる↓
  5. 緊急停止操作として「制御棒」を炉心へ入れる操作を行う↓
  6. この原子炉は「制御棒を入れると、一時的に出力が上げる」という特性があったため、さらに原子炉内での核分裂反応が進んでしまった↓
  7. 緊急停止ボタンを押したが、緊急停止に必要な30秒程度を待たずに、ボタンを押した7秒後に爆発した(炉内で蒸気圧が上昇したことによる爆発)
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至近距離で致死量被曝「デーモン・コア(悪魔のコア)」

1度目の「デーモン・コア」事件(1945年)



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「プルトニウムのかたまり」(これが後に「デーモン・コア」と呼ばれるようになる)の周りに、「炭化タングステン(=中性子反射体)」のれんが状のブロックを徐々に積み重ねることで、「どのくらい中性子反射体をプルトニウムに近づけると、プルトニウムが臨界反応を始めるか」を確かめる実験が行われた。

「中性子反射体」は、核分裂性物質(この実験で用いられたプルトニウムのかたまり)から発生した中性子を反射して核分裂性物質にぶつけ返すことで、臨界反応を起こすことができる。

「炭化タングステン」と「プルトニウムのかたまり」がある程度離れていれば臨界反応は起こらないが、近づけすぎると、中性子がプルトニウムにぶつかりすぎることで臨界反応が起こり、非常に危険な事態となる。

1度目のデーモン・コア事件の流れ

  1. 物理学者のハリー・ダリアンが、「プルトニウムのかたまり」の周りに「炭化タングステン(=中性子反射体)」を少しずつ積み重ねていった↓
  2. ダリアンの手が滑って、炭化タングステンを手から落とした↓
  3. プルトニウムのかたまりの上に炭化タングステンがもろに落ちて両者が接触する↓
  4. プルトニウムのかたまりが即座に臨界反応を起こし、臨界反応によって大量の中性子線がプルトニウムのかたまりから放たれる↓
  5. 大量の中性子線が、そばにいたダリアンを直撃して身体を貫く(この時の線量は5.1シーベルトと推定され、この線量は致死量6~7シーベルトとほぼ同じ)↓
  6. 臨界反応を停止させるために、ダリアンがあわててプルトニウムのかたまりの上から炭化タングステンのブロックをはらいのける。臨界反応が停止する↓
  7. 25日後、ダリアンは急性放射線障害で死亡
放射線…物体を透過して細胞DNAを直接損傷する恐怖の粒子線
原子力発電施設の使用済み核燃料から何千年と発生し続ける「放射線」は、高線量ともなると極めて人体に有害です。しかも放射線はほと...

2度目の「デーモン・コア」事件(1946年)

デーモン・コア悪魔のコア

物理学者ルイス・スローティンが、上記の1度目の「デーモン・コア」事件(1945年)でダリアンを死に追いやった「プルトニウムのかたまり」と同一のものを実験に再利用。

プルトニウムのかたまりを中心に設置し、それを覆う「2つの半球状のベリリウム(=中性子反射体)」を用意し、上のベリリウムと下のベリリウムの間にマイナスドライバーを差し入れて上下にぐらぐらさせ、「どのくらい中性子反射体をプルトニウムに近づけると、プルトニウムが臨界反応を始めるか」を確かめる実験が行われた。

2度目のデーモン・コア事件の流れ

  1. 物理学者ルイス・スローティンが、上側のベリリウム半球をマイナスドライバーでぐらぐらさせて、周りの実験者がシンチレーション検出器で比放射能を測定していた↓
  2. スローティンの手が滑り、支えになっていたマイナスドライバーが抜け、ベリリウム半球の上と下がぴったりくっついてしまう↓
  3. 中性子反射体に完全に覆われたことで、プルトニウムのかたまりが臨界反応を起こす↓
  4. 臨界反応により、プルトニウムのかたまりを中心にして、その場が「青い光(強い放射線により、周囲の空気が電離されて起こる青いスペクトル光)」に包まれる↓
  5. 大量の中性子線とガンマ線が、そばにいたスローティンを直撃して身体を貫く(この時の線量は21シーベルトと推定され、この線量は致死量6~7シーベルトをはるかに上回る)↓
  6. 臨界反応を止めるために、スローティンがあわてて上側のベリリウム半球を手で払いのける。臨界反応が停止する↓
  7. 9日後、スローティンは放射線障害で死亡

「デーモン・コア」事件での伝説と、色々な名言

2度目の「デーモン・コア」事件での実験の際には、そのあまりの危険性から、ほとんどの研究者は実験参加を拒否した。

スローティンと同じくロスアラモス研究所に所属していた、物理学者のリチャード・ファインマンが、「ドラゴンの尻尾をくすぐるようなものだ」とこの実験の危険さを批判し、実験を止めさせようとしていた。

ノーベル賞物理学者エンリコ・フェルミは、功名心が先立って危険な実験を繰り返すスローティンに「そんな調子では年内に死ぬぞ」と忠告していた。

デーモン・コア悪魔のコア

経験上これだけはやめとけ!人間を破滅させる危険な行動まとめ
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上記のファインマンが、本実験での、臨界反応を起こしていない状態の「プルトニウムのかたまり」を素手で触った結果、崩壊熱によって生まれる「放射能の暖かみがある」と発言。

立て続けに二名の研究者が死亡したことを受けて、その原因となった、死を呼ぶプルトニウムのかたまりが研究者の間で「デーモン・コア(Demon core)」と呼ばれるようになった。

デーモン・コアは、1946年7月1日の「クロスロード作戦」で洋上での核爆発実験に用いられ、爆発によってこの世から消失した。

もしもダリアンやスローティンが、プルトニウムのかたまりで起こっている臨界反応を止めようとせずにその場から逃げ出していたら、ずっと実験室内で臨界反応が起こり続けて高線量の放射線が放たれ続け、誰も研究所に近寄れない状態になっていた可能性が高いので、身をていして臨界反応を止めた二人は英断を下していたと言える。




人間が致死量レベルの放射線を浴びるとどうなるの?

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即死レベルではない、高線量の放射線を浴びた場合

  1. 高線量の放射線を浴びた瞬間、全身の「細胞に含まれているDNA」が傷つけられる。細胞自体は死なない。人体の見た目上は、変化が無いように見える↓
  2. 被曝直後、強い吐き気をもよおしておう吐したり、食欲不振に見舞われる↓
  3. 全身の細胞が寿命を迎え、細胞が死ぬ前に細胞分裂を行おうとするが、放射線によってDNAが損傷しているため、正常な細胞分裂が不可能になっている↓
  4. 古くなった皮膚がはがれ落ちる。細胞分裂が不可能なので皮膚は再生されず、皮膚の下の組織がむきだしになる。腸内の細胞も新陳代謝ができないので、下痢をして古い組織を排出した後、食べ物を摂取しても腸で栄養吸収ができなくなる。白血球のような骨髄細胞も作られなくなったことで免疫力が失われ、感染症にかかりやすくなる↓
  5. 痛覚や知覚などを司る四肢や脳の神経細胞は、上記のような新陳代謝はしないため、DNAが損傷しても働き続ける。したがって、放射線障害で身体が崩壊し続けても、痛みや恐怖を自覚したまま、生存の限界の時まで生き地獄が続く

即死レベルの、超高線量の放射線を浴びた場合

仮に40~50シーベルトのような高線量の放射線を浴びた場合、中枢神経系に重大な障害を引き起こす。

被曝者は知覚異常・灼熱感を覚え、脳が浮腫状を呈し、昏睡して3日以内に死亡する。



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