やりたいことや人生観が会社の仕事とマッチしている人を除いて、サラリーマンの大半はやりたくもない作業や嫌な人間関係に我慢して会社に勤めているようなので、給料が発生する間の就業時間はまだ納得できますが、無給で人生時間を切り売りする「サービス残業」は、従業員達の士気を大いに下げます。
しかし、サービス残業をしてもらうことでどうにか会社が回っている、という側面もあり、残業代を支給したら会社が潰れて社員も共倒れ…ということもよくあるようです。サービス残業の正負両方の側面を調べてまとめました。
サービス残業をやらせる上司の言い分
1 仕事はやりがい理論
「お客様が喜ぶ顔を思えば金なんか関係なくなるよな。俺たちは金のためではなく人の幸せのために働いているんだ」
2 残業が発生するのは仕事が遅いからだ理論
「いや、別に残業はしなくていいんだよ? 定時以内に終わるならさ。君が無能なわけではないよ。でも君はまだ会社に入ったばかりで、仕事になれていない。だから時間がかかって、定時過ぎになってしまうのはしょうがないんだよ。もしそれで残業代を君にあげてしまうと仕事が遅い人が得してしまうだろ? だから払えないんだ」
3 金は後からついてくる理論
「金はな後からついてくるんだよ。まずは金の事を気にせずがむしゃらに働け。お前がどれほどの能力を持っているか判らない内は、給料を上げることはできないよ。そりゃそうだろ?給料を高くしたのに働きはよくならなかったでは、こっちが困る。まずは、お前の能力をアピールしてみろ。そうしたらそれ相応の給料になる」
しかし……
結果どうなったか。俺は上司に相談するよと言って、上司に経緯を話した。その後、俺の上司が直接部下と話したらしいがそれでも納得いかなかったらしく、彼は会社を去っていった。
はじめて俺がサービス残業をやらされた時の事は今でも覚えている。ああこれがサービス残業かとぼんやりと思いながら働いた後、身体に大きくのしかかった疲労。金にならない仕事は疲れるんだとはじめて知った。いいように使われている自分に対して苛立ちを覚えたし、悲しくもあった。家に帰って、ネットで「サービス残業 ○○」と検索しては溜息をついた。何度か上司に抗議もした。そのたびに傷ついた。いつしか、抗議をするより黙って働いた方が楽だと思うようになった。どんな環境だって、割り切ってしまえば楽なんだ、と。でもそれは違う。気づいたよ。俺が耐えた不幸は俺の後を歩く人間が辿る不幸だって。俺が耐えても意味ない。誰かが断ち切らないといけないんだって。俺は断ち切ることができず、不幸の連鎖に手を貸してしまった。本当に俺がすべきだったのは部下にサービス残業やらせる方法を考えるのではなく、部下と一緒になって上司に「××さん、話があるんですが。サービス残業は嫌です」と言うことだったんだ。もう遅いけど。
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俺も部下にならって先月仕事を辞めた。
むりやり残業代を出そうとすると会社自体が潰れかねない
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ある会社での話だ。サービス残業を恒常的に繰り返している会社があり、社員がそれを指摘したところ、経営者はそれを認め、「給与カットか、リストラをして良いなら、残業代を支払える」と回答した。
コスト削減はやりつくし、新しい採用も抑制した。売上が急に上る見込みもない。残るは人件費のカットだけだったからだ。
その後の展開
- 社員達は話し合い、「希望退職者の募集」を行う事が決定
- それにエースと一部の若手が応じていち早く会社を抜ける
- 人件費の高い中高年社員に肩たたきをし、会社から消えてもらった
- これらのリストラにより、残業代は支払われるようになったが…
会社の業績はそれから徐々に下がる。
彼らは必死に頑張ったが、人手不足によるサービスの質の低下と、エースが持たせていた取引先の離反が続く。慌てて新規事業に手を出しても、エース不在では立ち上げるものも立ち上がらない。
若手や中堅は給与は低いのだが、スキルも低く、クオリティの高い仕事ができない。それを埋めるように労働時間でカバーをするようにすると、今度は残業代が高騰する。
結局3年持たず、その会社は消滅した。
サービス残業を肯定する社員も少なからずいる
社会人にサービス残業について聞いてみました。
Q.あなたはサービス残業についてどう思いますか?
やむを得ない……126人(34.3%)
絶対にしたくない……240人(65.7%)
調査時期:2015年3月
アンケート:フレッシャーズ調べ
集計対象数:社会人366人(インターネットログイン式アンケート)
肯定派の理由について。
・「自分が成長するためならそれくらいする」(女性/21歳/情報・IT)
・「社会人としてやらなきゃいけない場面が必ずあるから」(女性/27歳/学校・教育関連)
・「翌日にスムーズに進めるための下ごしらえが必要だから」(男性/25歳/団体・公益法人・官公庁)
・「これまで上司が残ればみんな残って仕事をする流れだったが、全く気にせず帰宅した新人さんがいて笑った」(男性/35歳/情報・IT)
・「仕事をダラダラ日中やっている上司が、定時をこえると張り切って残業しているアピールをする」(女性/24歳/営業職)
・「毎日終電まで残っていることを自慢にする人がいた。単に仕事ができないだけ?」(女性/46歳/学校・教育関連)