閲覧注意!くねくねや八尺様などネットを震撼させた怖い話5選

ネット怪談怖い話

暑くて、何かとテンションの上がる夏が近づいてきました。暑さを打ち消すアイスクリームや海水浴や夕涼みの冷たさがひときわ気持ちいいのも、夏の大きな魅力。

そして、それらとは別種の冷たさを求めてゾッとする怪談を読みたくなってしまうのも夏の宿命。怪談やオカルト系の話が好きなブログ管理人が選んだ、不気味で意味不明なゆえにあまりに怖すぎる「アカンやろこれ……」と本気で青くなったネット上の怖い話を調べてまとめました。

スポンサーリンク

くねくね

ネット怪談怖い話

「くねくね」とは、ネット上の有名な怪談。はるか遠くの地点に、その名の通りくねくねとした謎の形が現れ、これを視認し意識した者は回復不能の知能退行に囚われるという。

これは小さい頃、秋田にある祖母の実家に帰省した時の事である。
年に一度のお盆にしか訪れる事のない祖母の家に着いた僕は、早速大はしゃぎで兄と外に遊びに行った。
都会とは違い、空気が断然うまい。僕は、爽やかな風を浴びながら、兄と 田んぼの周りを駆け回った。
そして、日が登りきり、真昼に差し掛かった頃、ピタリと風か止んだ。
と思ったら、気持ち悪いぐらいの生緩い風が吹いてきた。僕は、『ただでさえ暑いのに、
何でこんな暖かい風が吹いてくるんだよ!』と、さっきの爽快感を奪われた事で少し機嫌悪そうに言い放った。
すると、兄は、さっきから別な方向を見ている。
その方向には案山子(かかし)がある。
『あの案山子がどうしたの?』と兄に聞くと、兄は『いや、その向こうだ』と言って、
ますます目を凝らして見ている。僕も気になり、田んぼのずっと向こうをジーッと見た。
すると、確かに見える。何だ…あれは。
遠くからだからよく分からないが、人ぐらいの大きさの白い物体が、くねくねと動いている。
しかも周りには田んぼがあるだけ。近くに人がいるわけでもない。僕は一瞬奇妙に感じたがひとまずこう解釈した。
『あれ、新種の案山子(かかし)じゃない?きっと!今まで動く案山子なんか無かった
から、農家の人か誰かが考えたんだ!多分さっきから吹いてる風で動いてるんだよ!』
兄は、僕のズバリ的確な解釈に納得した表情だったが、その表情は一瞬で消えた。
風がピタリと止んだのだ。しかし例の白い物体は相変わらずくねくねと動いている。兄は
『おい…まだ動いてるぞ…あれは一体何なんだ?』と驚いた口調で言い、
気になってしょうがなかったのか、兄は家に戻り、双眼鏡を持って再び現場にきた。
兄は、少々ワクワクした様子で、『最初俺が見てみるから、お前は少し待ってろよー!』と言い、
はりきって双眼鏡を覗いた。

すると、急に兄の顔に変化が生じた。

みるみる真っ青になっていき、冷や汗をだくだく流して、ついには持ってる双眼鏡を落とした。
僕は、兄の変貌ぶりを恐れながらも、兄に聞いてみた。
『何だったの?』
兄はゆっくり答えた。

『わカらナいホうガいイ……』

すでに兄の声では無かった。兄はそのままヒタヒタと家に戻っていった。
僕は、すぐさま兄を真っ青にしたあの白い物体を見てやろうと、落ちてる双眼鏡を取ろうとしたが、
兄の言葉を聞いたせいか、見る勇気が無い。しかし気になる。
遠くから見たら、ただ白い物体が奇妙にくねくねと動いているだけだ。少し奇妙だが、
それ以上の恐怖感は起こらない。しかし、兄は…。よし、見るしかない。
どんな物が兄に 恐怖を与えたのか、自分の目で確かめてやる!僕は、落ちてる双眼鏡を取って覗こうとした。
その時、祖父がすごいあせった様子でこっちに走ってきた。僕が『どうしたの?』と尋ねる前に、
すごい勢いで祖父が、『あの白い物体を見てはならん!見たのか!お前、その双眼鏡で見たのか!』
と迫ってきた。僕は『いや…まだ…』と少しキョドった感じで答えたら、祖父は
『よかった…』
と言い、安心した様子でその場に泣き崩れた。
僕は、わけの分からないまま、家に戻された。

帰ると、みんな泣いている。僕の事で?いや、違う。よく見ると、兄だけ狂ったように笑いながら、
まるであの白い物体のようにくねくね、くねくねと乱舞している。僕は、
その兄の姿に、あの白い物体よりもすごい恐怖感を覚えた。
そして家に帰る日、祖母がこう言った。『兄はここに置いといた方が暮らしやすいだろう。
あっちだと、狭いし、世間の事を考えたら数日も持たん…うちに置いといて、何年か経ってから、田んぼに放してやるのが一番だ…。』

僕はその言葉を聞き、大声で泣き叫んだ。以前の兄の姿は、もう、無い。
また来年実家に行った時に会ったとしても、それはもう兄ではない。
何でこんな事に…ついこの前まで仲良く遊んでたのに、何で…。僕は、必死に涙を拭い、車に乗って、実家を離れた。
祖父たちが手を振ってる中で、変わり果てた兄が、一瞬、僕に手を振ったように見えた。
僕は、遠ざかってゆく中、兄の表情を見ようと、双眼鏡で覗いたら、兄は、確かに泣いていた。
表情は笑っていたが、今まで兄が一度も見せなかったような、最初で最後の悲しい笑顔だった。
そして、すぐ曲がり角を曲がったときにもう兄の姿は見えなくなったが、僕は涙を流しながら
ずっと双眼鏡を覗き続けた。
『いつか…元に戻るよね…』そう思って、兄の元の姿を懐かしみながら、
緑が一面に広がる田んぼを見晴らしていた。そして、兄との思い出を回想しながら、ただ双眼鏡を覗いていた。

…その時だった。

見てはいけないと分かっている物を、間近で見てしまったのだ。

「くねくね」の特徴

  • 田舎の田畑や、山中の水辺に出現する。
  • 体色は白または黒で、白である場合が多く、目を引く。
  • くねくねと動く。あるいは踊る。
  • それを目撃しただけでは害はない。
  • しかしそれ以上のことを知ってしまうと発狂する。主に意識喪失、無気力症、精神薄弱などを発症する。
  • 地元民には知られた存在である。




スポンサーリンク




病院で医師が続々と目撃!?幽霊はいるのか?幽霊の正体仮説集
果たして、幽霊はいるのか?いないのか?死んだ後に幽霊になるか否かを知るには死ぬしかないのですが、死んだらもうそこで終わりだし...

おすすめ!本ページよりもさらに厳選したネットの怖い話特集ページは↓からどうぞ。

超閲覧注意!猿夢やリゾートバイトやリアル等ネットの怖い話集
ネット上で語り継がれる幾多の怪談のうち、特に怖いと評判の、有名で別格の人気怪談を調べてまとめました。 猿夢 ...




コトリバコ

ネット怪談怖い話

ある集落で過酷な迫害に抵抗するために外部から持ち込まれた呪術を基に製作された呪いの小箱とされている。
水子の死.体の一部などを細工箱のような小箱の中に入れて封をし、パズルや置物などともっともらしい嘘をついて殺.したい人物の身近に置かせる。
但し、この呪いは呪詛の中でもかなり強力なものであり、その呪いは製作者本人でさえも制御できず、下手をすれば自分たちさえ殺しかねないような危険な代物だった。(何年か経過したのちに村の子供がコトリバコの一つを知らずに持ち帰ってしまい、その日のうちに家の女子供が死に絶えている。)
時間が経過しても呪いは衰えず、さらに呪いの性質上解体ができないため、神社や寺などで長い永い年月をかけて少しずつ清めることでしか呪いを薄めることはできなかったようだ。
その製作法ゆえか、女・子供を苦しんだ上で殺すという、まさに子孫を奪う「子獲り箱」なのである。

なお、何人の水子の死.体を使用するかによって呪いの強さが大きく変化し、一人から順に「イッポウ」「ニホウ」「サンポウ」「シホウ」「ゴホウ」「ロッポウ」「チッポウ(シッポウ)」「ハッカイ」という順番で強力になっていき、名前も変わっていく。
特に「ハッカイ」は非常に危険な代物であり、呪詛を伝えた人物が二度と作ってはならないと念を押した上で、対価として貰い受けている。

話は、島根県の若者グループが納屋から不審な木箱を見つけるところから始まる。この木箱、地元では「コトリバコ」と呼ばれており、実は大昔に作られた呪物だというのだ。

この話、しっかり読んでいくと滅茶苦茶なボリュームがあり、しかも無駄に読みやすい。まるで小説家を志望する人物の書いたような構成になっている。だが、それがいいのだ。

→「コトリバコ」の全文

幽霊が同居人に!?家賃が安い代わりに訳ありの事故物件の特徴
賃貸暮らしをするためにアパートやマンションを選んだことがある人なら高確率で気に掛けるのが「事故物件」。いわくつきの部屋は、家...

パンドラ(禁后)

ネット怪談怖い話

田舎町の子供たちが、地元で立ち入りを禁止されている古い空き家に探検しに行く。そこで、古い鏡台の引き出しを開け、その中を見てしまった女の子が発狂。くねくね同様、二度と元には戻らない、という話だ。

あまりの事態に怖くなった子どもたちが逃げ帰ると、大人に「お前らあそこに立ち入っただろ!」と怒られ、そこではじめて立ち入り禁止にしている理由が語られる。

パンドラ(禁后)のお話を読む

悪夢の世界に近い映画版ドラえもんのトラウマ恐怖要素まとめ
国民的アニメとして万人に親しまれる「ドラえもん」。現代の子ども達の嗜好に合わせた形で劇場版アニメがリメイクされ、かなり内容が...

ヤマノケ

ネット怪談怖い話

一週間前の話。
娘を連れて、ドライブに行った。
なんてことない山道を進んでいって、途中のドライブインで飯食って。で、娘を脅かそうと思って舗装されてない脇道に入り込んだ。
娘の制止が逆に面白くって、どんどん進んでいったんだ。そしたら、急にエンジンが停まってしまった。
山奥だからケータイもつながらないし、車の知識もないから娘と途方に暮れてしまった。飯食ったドライブインも歩いたら何時間かかるか。
で、しょうがないからその日は車中泊して、次の日の朝から歩いてドライブイン行くことにしたんだ。

車内で寒さをしのいでるうち、夜になった。夜の山って何も音がしないのな。たまに風が吹いて木がザワザワ言うぐらいで。
で、どんどん時間が過ぎてって、娘は助手席で寝てしまった。俺も寝るか、と思って目を閉じてたら、何か聞こえてきた。
今思い出しても気味悪い、声だか音だかわからん感じで
「テン(ケン?)…ソウ…メツ…」って何度も繰り返してるんだ。
最初は聞き間違いだと思い込もうとして目を閉じたままにしてたんだけど、音がどんどん近づいてきてる気がして、たまらなくなって目を開けたんだ。
そしたら、白いのっぺりした何かが、めちゃくちゃな動きをしながら車に近づいてくるのが見えた。形は「ウルトラマン」のジャミラみたいな、頭がないシルエットで足は一本に見えた。
そいつが、例えるなら「ケンケンしながら両手をめちゃくちゃに振り回して身体全体をぶれさせながら」向かってくる。
めちゃくちゃ怖くて、叫びそうになったけど、なぜかそのときは「隣で寝てる娘がおきないように」って変なとこに気が回って、叫ぶことも逃げることもできないでいた。
そいつはどんどん車に近づいてきたんだけど、どうも車の脇を通り過ぎていくようだった。通り過ぎる間も、「テン…ソウ…メツ…」って音がずっと聞こえてた。
音が遠ざかっていって、後ろを振り返ってもそいつの姿が見えなかったから、ほっとして娘の方を向き直ったら、そいつが助手席の窓の外にいた。
近くでみたら、頭がないと思ってたのに胸のあたりに顔がついてる。思い出したくもない恐ろしい顔でニタニタ笑ってる。
俺は怖いを通り越して、娘に近づかれたって怒りが沸いてきて、「この野郎!!」って叫んだんだ。叫んだとたん、そいつは消えて、娘が跳ね起きた。
俺の怒鳴り声にびっくりして起きたのかと思って娘にあやまろうと思ったら、娘が
「はいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれた」
ってぶつぶつ言ってる。
やばいと思って、何とかこの場を離れようとエンジンをダメ元でかけてみた。そしたらかかった。急いで来た道を戻っていった。娘はとなりでまだつぶやいている。
早く人がいるとこに行きたくて、車を飛ばした。ようやく街の明かりが見えてきて、ちょっと安心したが、娘のつぶやきが「はいれたはいれた」から「テン…ソウ…メツ…」にいつの間にか変わってて、顔も娘の顔じゃないみたいになってた。
家に帰るにも娘がこんな状態じゃ、って思って、目についた寺に駆け込んだ。夜中だったが、寺の隣の住職が住んでるとこ?には明かりがついてて、娘を引きずりながらチャイムを押した。
住職らしき人が出てきて娘を見るなり、俺に向かって「何をやった!」って言ってきた。山に入って、変な奴を見たことを言うと、残念そうな顔をして、気休めにしかならないだろうが、と言いながらお経をあげて娘の肩と背中をバンバン叩き出した。
住職が泊まってけというので、娘が心配だったこともあって、泊めてもらうことにした。
娘は「ヤマノケ」(住職はそう呼んでた)に憑かれたらしく、49日経ってもこの状態が続くなら一生このまま、正気に戻ることはないらしい。住職はそうならないように、娘を預かって、何とかヤマノケを追い出す努力はしてみると言ってくれた。
妻にも俺と住職から電話して、なんとか信じてもらった。住職が言うには、あのまま家に帰っていたら、妻にもヤマノケが憑いてしまっただろうと。ヤマノケは女に憑くらしく、完全にヤマノケを抜くまでは、妻も娘に会えないらしい。
一週間たったが、娘はまだ住職のとこにいる。毎日様子を見に行ってるが、もう娘じゃないみたいだ。ニタニタ笑って、なんともいえない目つきで俺を見てくる。
早くもとの娘に戻って欲しい。

遊び半分で山には行くな。



スポンサーリンク



悪霊よりもはるかに身近で深刻…現実的でゾッとする恐い話集
日常生活の中には、実在するかどうかも分からない幽霊よりもずっと恐い「現実的な問題」がいくつもひそんでいます。それを集めてまと...
どうあがいても絶望…SIRENの世界はヤバすぎる…絶望まとめ
日本が生んだ和製ホラーゲームの中でも、ダントツの難易度とシナリオの難解さで知られる、PS2のSIREN(サイレン)。キャッチ...
いざ異界と化した羽生蛇村へ…SIRENのストーリーと魅力解説
難解にして、本格和風ホラーのシナリオと物語舞台がいつまでも人々を魅了し続けるホラーゲーム・SIREN(サイレン)。最近、初代...




八尺様(はっしゃくさま)

ネット怪談怖い話

八尺様とは、ある村に封印されていた、正体不明の女の姿をした怪異である。
気に入った男に付き纏い、魅入った人間を数日のうちに取り殺してしまうという。
成人前の若い男性、特に子供が狙われやすいとされ、相手を誘い出すために身内の声を出すこともある。
出現頻度はそれほど多い方ではなく、被害は数年から十数年に一度だと伝わっている。
男のような声で「ぽぽぽ」という不気味な笑い方をする。一尺はおよそ30センチなので、彼女の身長は240センチにも達しているということとなる。

親父の実家は車で二時間弱くらいのところにある。

なんでもない田舎だったけど、そののんびりした雰囲気が好きだった。高校になってバイクに乗るようになると、休みを利用してよく一人で遊びに行った。じいちゃんとばあちゃんも「よく来てくれた」と喜んで迎えてくれたしね。

でも、最後に行ったのが高校三年にあがる直前。もう十年以上も行っていないことになる。決して「行かなかった」んじゃなくて「行けなかった」んだけど、その訳はこんなことだ。

春休みに入ったばかりのこと。いつものようにじいちゃんの家にバイクで行った。まだ肌寒い時季だったけど、縁側はぽかぽかと気持ちよかった。だから荷物もそのままで、その縁側でしばらくくつろいでいた。

そうしたら、

「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ……」

と変な音が聞こえてきた。

機械的な音じゃなくて、人が発してるような感じがした。男の声とも女の声とも取れるような感じだった。何だろうと思っていると、庭の生垣の上にひょっこり帽子があるのを見つけた。

でも生垣の上に置いてあったわけじゃない。

帽子はそのまま横にすぅと動いて垣根の切れ目まで来ると、一人の女性が現れた。まあ、帽子はその女性が被っていたわけだ。女性は白っぽいワンピースを着ていた。

でも生垣の高さは二メートルくらいある。その生垣から頭を出せるってどれだけ背の高い女なんだ…と驚いていると、女はゆっくりと動いて視界から消えた。帽子も消えていた。「ぽぽぽ」という音も無くなっていた。そのときはもともと背が高い女が超厚底のブーツを履いていたかくらいにしか思わなかったな。

そのあと居間でお茶を飲みながら、じいちゃんとばあちゃんにさっきのことを話した。

「さっき、大きな女を見たよ」

と言っても「へぇ~」くらいしか言わなかったけど、

「垣根より背が高かったな。帽子を被っていて『ぽぽぽ』とか変な声出してたし」

と言ったとたん、二人の動きが止ったんだよね。本当にぴたりと止った。

そ したら「いつ見た」「どこで見た」「垣根よりどのくらい高かった」と、じいちゃんが怒ったような顔で質問を浴びせてきた。その気迫に押されながらも見たままに答えた。するとじいちゃんは廊下にある電話まで飛び出していって、どこかに電話をかけだした。引き戸が閉じられていたため、何を話しているのかはよく 分からなかったけど深刻そうな声が聞こえた。ばあちゃんは震えていた。

じいちゃんは電話を終えたのか、戻ってくると、

「今日は泊まっていけ。いや、今日は帰すわけには行かなくなった」と言った。

――何かとんでもなく悪いことをしてしまったんだろうか。何も思い当たらない。あの女だって、自分から見に行ったわけじゃなく、あちらから現れたわけだし。

そして「ばあさん、後頼む。俺はKさんを迎えに行って来る」と言い残し、軽トラックでどこかに出かけて行った。

ばあちゃんに恐る恐る尋ねてみると、

八尺様に魅入られてしまったようだよ。でもじいちゃんが何とかしてくれる。何にも心配しなくていいから」

と震えた声で言った。それからばあちゃんは、じいちゃんが戻って来るまでの間ぽつりぽつりと話してくれた。

この辺りには「八尺様」という厄介なものがいる。

八尺様は大きな女の姿をしている。名前の通り八尺ほどの背丈があり「ぼぼぼぼ」と男のような声で変な笑い方をする。人によって喪服を着た若い女だったり、留袖の老婆だったり、野良着姿の年増だったりと見え方が違う。でも女性で異常に背が高いことと頭に何か載せていること、それに気味悪い笑い声は共通している。

昔、旅人に憑いて来たという噂もあるが、定かではない。

八尺様はこの地域に地蔵によって封印されていて、よそへは行くことがない。八尺様に魅入られると、数日のうちに取り殺されてしまう。最後に八尺様の被害が出たのは十五年ほど前だということだ。

後から聞いた話だけど、地蔵によって封印されているのは、八尺様がよそへ移動できる道というのが限られているということだ。その道の村境に地蔵を祀ったそうだ。八尺様の移動を防ぐためだが、それは東西南北の境界に全部で四ヶ所あるらしい。

もっとも、何でそんなものを留めておくことになったかというと、周辺の村と何らかの協定があったらしい。例えば水利権を優先するとか。八尺様の被害は数年から十数年に一度くらいなので、昔の人はそこそこ有利な協定を結べれば良しと打算が働いたのだろうか。

そんなことを聞いても、全然リアルに思えなかった。当然だよね。

そのうち、じいちゃんが一人の老婆を連れて戻ってきた。

「えらいことになったのう。今はこれを持ってなさい」

Kさんという老婆はそう言って、お札をくれた。それからじいちゃんと一緒に二階へ上がり、何やらやっていた。ばあちゃんはそのまま一緒にいてくれた。トイレに行くときも付いてきて、トイレのドアを完全に閉めさせてくれなかった。ここにきてはじめて異常事態だと思うようになった。

しばらくして二階の一室に入れられた。

そこは窓がすべて新聞紙で目張りされていて、その上にお札が貼られていた。四隅には盛塩が置かれていた。木でできた箱状のものがあり、その上に小さな仏像が乗っていた。

「もうすぐ日が暮れる。いいか、明日の朝までここから出てはいかん。俺もばあさんもな、お前を呼ぶこともなければ、お前に話しかけることもない。そうだな、明日朝の七時になるまでは絶対ここから出るな。七時になったらお前から出ろ。家には連絡しておく」

じいちゃんが真顔で言うものだから、黙って頷くしかなかった。

「今言われたことは良く守りなさい。お札も肌身離さずな。何かおきたら仏様の前でお願いしなさい」

とKさんにも言われた。

テレビは見てもいいと言われていたので点けたが、上の空で気も紛れない。ばあちゃんがくれたおにぎりやお菓子も食べる気が全くおこらなかった。布団に入ってひたすら震えていた。

いつのまにか眠っていたようだった。目が覚めたときには、知らない深夜番組が映っていた。時計を見たら、午前一時を少し過ぎてた。

嫌な時間に起きちゃったな、なんて思っていると、窓ガラスをコツコツと叩く音が聞こえた。

小石なんかをぶつけているんじゃなくて、手で軽く叩くような音だったと思う。風のせいでそんな音がでているのか、誰かが本当に叩いているのかは判断がつかなかった。でも必死に風のせいだと思い込もうとした。でもやっぱり怖くて、テレビの音を大きくして無理やりテレビを見ていた。

そんなとき、じいちゃんの声がドアの向こうから聞こえた。

「おーい、大丈夫か。怖けりゃ無理せんでいいぞ」

思わずドアに近づいたが、じいちゃんの言葉をすぐに思い出した。また声がする。

「どうした、こっちに来てもええぞ」

じいちゃんの声に限りなく似ているけど、あれはじいちゃんの声じゃない。どうしてか分からないけど、そんな気がした。そう思ったと同時に全身に鳥肌が立った。

ふと、隅の盛り塩を見ると、上のほうからジリジリと黒く変色していた。一目散に仏像の前に座ると、お札を握り締め「助けてください」と必死にお祈りをはじめた。

そのとき、

「ぽぽっぽ、ぽ、ぽぽ……」

あの声が聞こえ、窓ガラスがトントン、トントンと鳴り出した。アレが下から手を伸ばして窓ガラスを叩いている光景が浮かんで仕方がなかった。もうできることは、仏像に祈ることだけだった。

とてつもなく長い一夜に感じた。それでも朝は来るもので、つけっぱなしのテレビがいつの間にか朝のニュースをやっていた。画面隅に表示される時間は確か七時十三分となっていた。

ガラスを叩く音も、あの声もいつのまにか止んでいた。どうやら眠ってしまったか気を失ってしまったかしたらしい。盛り塩は完全に黒く変色して崩れていた。

念のため自分の時計を見たところはぼ同じ時刻だった。恐る恐るドアを開けると、そこには心配そうな顔をしたばあちゃんとKさんがいた。ばあちゃんが、よかった、よかったと涙を流してくれた。

下に降りると、親父も来ていた。普段見せない深刻な表情だった。

外からじいちゃんが顔を出して「早く車に乗れ」と促した。庭に出てみると、どこから持ってきたのかワンボックスのバンが一台あった。そして庭には何人かの男たちがいた。

ワンボックスは九人乗り。中列の真ん中に座らされ、助手席にKさんが座り、庭にいた男たちもすべて乗り込んだ。全部で九人が乗り込んでおり、八方すべてを囲まれた形になった。

「大変なことになったな。気になるかもしれないが、これからは目を閉じて下を向いていろ。俺たちには何も見えんが、お前には見えてしまうだろうからな。いいと言うまで我慢して目を開けるなよ」

右隣に座った五十歳くらいのオジさんがそう言った。

そして、じいちゃんの運転する軽トラが先頭、次が俺が乗っているバン、後に親父が運転する乗用車という車列で走り出した。車列はかなりゆっくりとしたスピードで進んだ。おそらく二十キロも出ていなかったんじゃないか。

間もなくKさんが「ここがふんばりどころだ」と呟くと、何やら念仏のようなものを唱え始めた。

「ぽっぽぽ、ぽ、ぽっ、ぽぽぽ……」

またあの声が聞こえてきた。

Kさんからもらったお札を握り締め、言われたとおりに目を閉じ下を向いていた。でも気になって薄目をあけて外を少しだけ見てしまった。

目に入ったのは白っぽいワンピース。それが大股で車にぴったりとついてきている。頭はウインドウの外にあって見えないが、車内を覗き込もうとするように上半身が傾き始めた。

無意識に「ヒッ」と声を出す。「見るな」と隣が声を荒げる。

慌てて目をぎゅっとつぶり、さらに強くお札を握り締めた。

コツ、コツ、コツ

ガラスを叩く音が始まる。周りに乗っている人も短く「エッ」とか「ンン」とか声を出す。アレは見えなくても、声は聞こえなくても、音は聞こえてしまうようだ。Kさんの念仏に力が入る。気が遠くなるような長い時間が過ぎていった。

…やがて、声と音が途切れたと思ったとき、Kさんが「うまく抜けた」と声をあげた。それまで黙っていた周りを囲む男たちも「よかったなあ」と安堵の声を出した。

やがて車は道の広い所で止り、親父の車に移された。

親父とじいちゃんが他の男たちに頭を下げているとき、Kさんが「お札を見せてみろ」と近寄ってきた。無意識にまだ握り締めていたお札を見ると、真っ黒になっていた。Kさんは「もう大丈夫だと思うがな、念のためしばらくの間はこれを持っていなさい」と新しいお札をくれた。

その後は親父と二人で自宅へ戻った。バイクは後日じいちゃんと近所の人が届けてくれた。親父も八尺様のことは知っていたようで、子供の頃、友達のひとりが魅入られて命を落としたということを話してくれた。魅入られたため、他の土地に移った人も知っているという。

バンに乗った男たちは、すべてじいちゃんの一族に関係がある人だった。つまり極々薄いながらも自分と血縁関係にある人たちだそうだ。前を走ったじいちゃん、後ろを走った親父も当然血のつながりはあるわけで、そうして少しでも八尺様の目をごまかそうとしたらしい。

親父の兄弟は一晩でこちらに来られなかったため、血縁は薄くてもすぐに集まる人に来てもらったようだ。それでも流石に七人もの男が今の今、というわけにはいかなく、また夜より昼のほうが安全と思われたため、一晩部屋に閉じ込められたのである。道中、最悪ならじいちゃんか親父が身代わりになる覚悟だったとか。

そして、先に書いたようなことを説明され、もうあそこには行かないようにと念を押された。家に戻ってじいちゃんと電話で話したとき、あの夜に声をかけたかと聞いたが、そんなことはしていないと断言された。改めて背筋が寒くなった。

八尺様の被害には成人前の若い人間、それも子供が遭うことが多いということだ。まだ子供や若年の人間が極度の不安な状態にあるとき、身内の声であのようなことを言われれば、つい心を許してしまうのだろう。

それから十年以上が経った。あの出来事の記憶も薄らいでいたころ、洒落にならない後日談ができてしまった。

「八尺様を封じている地蔵様が誰かに壊されてしまった。それもお前の家に通じる道のものがな」

と、ばあちゃんから電話があった(じいちゃんは二年前に亡くなっていて、当然ながら葬式にも行かせてもらえなかった。じいちゃんも起き上がれなくなってからは絶対来させるなと言っていたという)。

今となっては迷信だろうと自分に言い聞かせつつも、かなり心配な自分がいる。

「ぽぽぽ……」という、あの声が聞こえてきたらと思うと……。

すごーい!いつでもフレンズたちに会えるー!




仕事カテゴリーネットサービスカテゴリー健康カテゴリー美容カテゴリー恋愛カテゴリー教育カテゴリー知識カテゴリーお楽しみカテゴリー漫画カテゴリー小説カテゴリーアニメカテゴリーゲームカテゴリー購入技カテゴリー住宅カテゴリー趣味カテゴリータグブログ内検索トップページ