燃料棒の熱で蒸気を起こせ!大量の電気を作る原子力発電の仕組み

原子力発電仕組み解説

かっこよさとロマンを感じずにはいられない「原子力」という言葉。熱エネルギーを利用して蒸気を発生させてタービンを回し、大量の電力を長期的に得ることができます。

ただし、危険で処分に困る放射性廃棄物も生まれてしまう、もろはの剣。原子力発電とはどのような仕組みなのかを調べてまとめました。

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原子力発電の仕組み

原子力発電仕組み解説

仕組み

原子炉から得られる核エネルギーを使って発電する。

原子力で得られるのは熱エネルギーであるため、発電するには原子炉とは別に熱エネルギーを電気エネルギーに変換する装置・施設が必要である。具体的には蒸気機関、つまり、原子力で水を沸かして水蒸気に変え、水蒸気でタービンを回して発電する。そのため、ボイラが原子炉に置き換わった以外は火力発電とほとんど同じシステムである。

原子力発電の長所・短所

長所

  • 少ない燃料で莫大な電力を得られる(エネルギー密度が高い)
  • 高出力かつ安定した電力を供給できる
  • 原理的に温室効果ガス(CO2)が発生しないので、地球温暖化に影響しにくい
  • ウランは産油国とは別の国で産出するため、エネルギー源を特定の国に頼らなくて済む(リスク分散)

短所

  • 使用済み核燃料や、放射性廃棄物を排出する
  • 破壊された場合、世界規模で甚大な被害を与えうる

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蒸気を発生させるための熱源となる「燃料棒」

原子力発電仕組み解説

燃料棒(ねんりょうぼう)は、原子炉の炉心の部品のひとつ。棒状の燃料棒は炉心内での核燃料の標準的な形状であり、複数本の燃料棒が束ねられ、「燃料集合体」と呼ばれるユニットが組まれる。

燃料棒の中に納められた「燃料ペレット」

天然ウランに0.7%含まれている“燃える”ウラン235の割合を2 – 4%程度に濃縮した二酸化ウランを直径、高さとも約1センチメートル程の円柱形に焼き固めたセラミックスである。

ウラン金属は、融点が1,132 ℃であるため高温を伴う原子炉では容易に溶けてしまうばかりでなく、およそ670 ℃で結晶構造が変化し膨張してしまうなどの欠点を有する。そこで、ウランの酸化物を粉末状にした上で成型し、磁器のように焼き固める(焼結)ことで、融点を2,700~2,800 ℃程度まで高めている。

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燃料ペレットで起こっている臨界反応

原子力発電仕組み解説

ウラン235に中性子が一つ当たるとウランの原子核が二つにわれる核分裂が起こります。この分裂の時に中性子が2から3個飛び出し、同時に熱が発生します。核分裂の時にでてきた中性子の数をうまく調整していき次々にウラン235に当てると核分裂反応を定常的に起こさせることができます(これを臨界と言います)。その時に発生する膨大な熱でお湯を沸かし、蒸気を発生させ、タービンを廻し、発電します。



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原子炉内での核分裂反応を制御する方法

原子力発電仕組み解説

核分裂の制御方法は、大きく分けて次の2点があります。

1.「減速材」によって中性子のスピードを減速させる
2.「制御棒」によって中性子の量を減らす

まず 1.減速材 です。原子炉の中では、燃料棒のなかに入っているウランの核分裂によって中性子が物凄いスピードで飛び出しています。このスピードが速ければ速いほど核分裂が早く進みます。この中性子のスピードを落としてやれば核分裂はゆっくり行われることになります。燃料棒は減速材の中に浸されています。減速材は中性子のスピードを落とすために備えられたもので、日本の原子炉では水が減速材として使用されています。水を使った原子炉を「軽水炉」と呼びます。他の減速材としては重水やグラファイトを使用した重水炉があります。

次に 2.制御棒です。 原子炉の中では核分裂によって生じた中性子が大量に存在し、この中性子が次から次に核に吸い込まれ、さらに核分裂が生まれる連鎖反応が継続されています。つまり、中性子の数が多ければ多いほど核分裂の連鎖が大きくなるわけで、中性子の数を減らせば核分裂の連鎖が小さくなります。しかし、余りにも中性子を減じてしまうと核分裂の連鎖自体が停止してしまうことになります。
つまり、原子炉の中の中性子数を一定の数に保ち、核分裂を最小限に抑え、継続かつ安定的に行えるだけの中性子数に減らす役目をするのが「制御棒」なのです。
制御棒は、「カドミウム」のように中性子を強く吸収し、しかも自体が核分裂を起こさない物質を用いています。この制御棒を原子炉の中に深く挿入すれば、原子炉の中の中性子は制御棒に殆どを吸い取られ、中性子が核に入ることがなくなるため核分裂が起こらなくなります。
制御棒を原子炉内から抜き取っていくと、中性子源から放出される中性子が引き金となって核分裂が開始され、再び核分裂連鎖反応が起こることになります。このように制御棒は、原子炉の中の核分裂連鎖反応を自在に制御できる機能を有しているものです。

臨界反応が制御不能になるとメルトダウン

原子力発電仕組み解説

メルトダウンは炉心溶融とも呼ばれる原子炉の重大事故の一つ。冷却系統の故障により炉心の温度が異常に上昇し、核燃料が融解すること。燃料の大部分が溶融し、圧力容器の底に溜まった状態をメルトダウンとし、高温により圧力容器の底が溶かされて燃料が容器の底を突きぬけることをメルトスルー(溶融貫通)と呼ぶ。メルトダウンを起こした例として、1966年のエンリコ・フェルミ炉事故(高速増殖炉・米国)や、79年のスリーマイル島原子力発電所事故(米国)、さらにメルトスルーに進んだ例としては86年のチェルノブイリ原子力発電所事故(旧ソ連)、そして2011年の福島第一原子力発電所事故などがある。

原子力発電仕組み解説

福島第一原子力発電所事故においても、地震と津波によって冷却系統の電源が失われ、冷却装置の配管が損傷するなどしてメルトダウンが起きた。核燃料は圧力容器を突き抜け、格納容器にも穴があくメルトスルーにまで至ったとみられる。この結果、周辺の土壌や海域に大量の放射性物質をまき散らし、暫定評価は最悪のレベル7という深刻な事故となった。

溶融した核燃料によって格納容器の水が急激に沸騰し、水蒸気爆発を起こして放射性物質が大気中に飛散する。さらには、溶融した核燃料が容器の底部に集まるなどし、再臨界により暴走して核爆発に至る。いずれの事態であっても、環境中に重大な核汚染を招くことになる。




燃料棒は時間が経つと発熱効率が落ちるので入替えが必要

原子力発電仕組み解説

核燃料は、原子炉に装填し燃焼させる(核分裂反応を持続させる)ことでその核エネルギーを取り出すまたはプルトニウム239を生成することができる。しかしながら核燃料は、

  • 燃焼が進むにつれて、核分裂性のウランやプルトニウムが減少することによって中性子発生数と発熱量が低下し、核分裂生成物(特に希ガスや希土類)が大量に蓄積し、核分裂の持続的な燃えやすさ(余剰反応度)が低下する
  • 核燃料被覆材には、腐食や応力によるクリープ変形からくる寿命が存在する

といった理由から、核分裂性物質を使い果たす前の適当な時期に原子炉から取り出し、新しい核燃料と交換する必要がある。この取り出された核燃料を使用済み核燃料と呼ぶ。

一般的には原子炉で使用された後、冷却するために原子力発電所内にある貯蔵プールで3年~5年ほど保管される。その後、核燃料サイクルに用いるために再処理工場に輸送されて処理が行われるか、高レベル放射性廃棄物処理場での長期保管(使用済み核燃料を処理し、廃液をガラスと混ぜて円柱状に固化させる)が行われる。



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