放射線…物体を透過して細胞DNAを直接損傷する恐怖の粒子線

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原子力発電施設の使用済み核燃料から何千年と発生し続ける「放射線」は、高線量ともなると極めて人体に有害です。しかも放射線はほとんどの遮蔽物を透過して人体に作用するので、まさに手のつけようのない恐怖の存在。

放射線とは何なのか?具体的に何がどう危険なのか?放射線のあれこれについて調査したので分かったことを報告します。

 

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「放射線」とは何なのか

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「放射線」の定義

「電離作用を有する、電磁波・粒子線」の総称を、放射線と呼ぶ。

放射線の種類は、X線、γ線、β線、α線、中性子線、など。




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「電離作用」とは、

強いエネルギーを有する放射線が物質中を通過する際に、原子あるいは分子に含まれる「電子」を外へとはじき飛ばして、電子が欠けたことでその原子や分子を正の電荷を帯びた状態にする(つまり、原子や分子をイオン化させる)作用

です。

 




放射線の種類と、それらの物質透過能力の違い

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α(アルファ)線

  • α線の正体は「陽子2個・中性子2個からなる粒子」
  • 放射線の中では、電離作用は強いほう
  • 物質の透過力は弱く、紙一枚や数cmの厚さの空気で遮断することができる

 

 

β(ベータ)線

  • β線の正体は「原子核から放出される電子」
  • 放射線の中では、電離作用は弱いほう
  • 物質の透過力はけっこう強く、アルミニウムのような薄い金属板を使えば遮断することができる

 

 

γ(ガンマ)線

  • γ線の正体は「不安定な状態にある原子核が、安定な状態へ移る際に生じる電磁波」
    • 「電磁波」とは、空間の電場と磁場の変化によって形成される波のこと。光や電波が電磁波の例。
  • 放射線の中では、電離作用はかなり弱いほう
  • 物質の透過力はかなり強く、鉛・鉄のような比重が重い物質の板・壁により遮断することができる。厚さ10cmの鉛の壁だと、γ線は約1/100~1/1000に減衰される

 

 

X線

  • X線の正体は「原子から生じる電磁波」
  • 放射線の中では、電離作用はかなり弱いほう
  • 物質の透過力はかなり強い。ただし、X線と似た性質をもつ放射線であるγ線よりは、物質の透過力は弱い

 

 

中性子線

  • 中性子線の正体は「中性子の流れ」
    • 「中性子」は原子核を構成する粒子の一つで、物質の透過力が強い
  • 放射線の中では、電離作用はかなり弱いほう
  • 物質の透過力は非常に強い。X線、γ線、β線、α線を遮断できたそれぞれの物質を全て透過してしまう。コンクリートの壁や水を大量に含んだタンクのような「水素」を多く含む物体で中性子線を遮断することができる

 

 

 

ウラン鉱石が放射線を発生させる様子

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-40℃に維持された箱の中をアルコールの蒸気で満たし、その中に放射性物質を置くと、放射線が通った軌跡が可視化されるようになる。

 

「放射能」と「放射線」の意味の違い

 

「放射能」


放射能とは、「放射線を発する性質」を意味する。

懐中電灯と光の関係での、「光を出すことができる懐中電灯」=「放射能をもつ物質」。

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「放射線」

放射線とは、「放射能をもつ物質から発生した、電磁波・粒子線」を意味する。

懐中電灯と光の関係での、「懐中電灯から出ている光」=「放射線」。

 

 

 

よく言われる「放射能を浴びてしまった」というのは誤用であり、正しくは「放射線を浴びてしまった」です。

 

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放射線は「目に見えない無数の極小弾丸」のようなもの

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放射線に被曝することで細胞中のDNAが傷つく

  • 人間が放射性物質に近づき、放射性物質から発生する放射線を浴びる(被曝する)と、放射線が身体を透過する際に、細胞中のDNAが傷つけられる
    • 放射線量が1ミリシーベルトなら全身の各細胞に平均して1本ずつ放射線が通り、5ミリシーベルトなら全身の各細胞に平均して5本ずつ放射線が通る
  • 高線量の放射線を浴びてDNAがずたずたに傷つけられると、細胞分裂の際にコピー元のDNAがずたずた状態なので細胞分裂が不可能になったり、細胞分裂時にDNAの複製エラーが多発してガンを引き起こす

 

 

 

もともとDNAには、壊れた箇所を修復する機能があったり、間違って修復されてもそれを発見して正しい形へ治す酵素があります。そのため、ごく低線量の放射線ならば、DNAが少々傷つけられても自然修復します。

高線量の放射線を浴びると、全身の細胞のDNAがずたずたにされるので、細胞分裂が不可能にになって古い皮膚がはがれ落ちる・身体のなかで新陳代謝が活発な部位から順に崩壊していく・ガンが発症するなど、極めて悲惨な症状を呈し、多くの場合で死亡します。

 

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原発事故で問題になるとされる、主要な放射性物質

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ヨウ素131

  • ヨウ素131は、事故を起こした原子力発電施設から周囲にまき散らされる
  • ヨウ素131は、原発事故を起こした場所の周囲にあった食べ物に付着してそれを食べたり、常温ではガス状なので呼吸によって体内に取り込まれる
  • 体内に取り込まれると甲状腺に集まり、ヨウ素131がβ崩壊をする際にβ線を発して細胞にダメージを与えて、甲状腺ガンを誘発する

 

 

セシウム137

  • セシウム137は、事故を起こした原子力発電施設から周囲にまき散らされる
  • セシウム137は、原発事故を起こした場所の周囲にあった食べ物に付着してそれを食べたり、空中を漂っている微細なセシウム137が呼吸によって体内に取り込まれる
  • 体内に取り込まれたセシウム137が発するβ線による内部被曝で健康被害が起きる
  • 体内に取り込まれても、尿によって体外へ排出されるので、体内に留まる量は少ない

 

 

ストロンチウム90

  • ストロンチウム90は、事故を起こした原子力発電施設から周囲にまき散らされる
  • ストロンチウム90は、原発事故を起こした場所の周囲にあった食べ物に付着してそれを食べたり、ストロンチウム90が付着した牧草を食べた乳牛が作った牛乳を飲むことで体内に取り込まれる
  • 体内に取り込まれたストロンチウム90は骨に吸着しやすく、ストロンチウム90がβ線を発することによる内部被曝で、骨肉腫・白血病を誘発する

 

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放射能をもつ代表的な物質

放射能をもつ物質は、

天然物質では「ウラン」や「トリウム」といった鉱石。

人工物質では「セシウム137」「コバルト60」「ヨウ素131」「ストロンチウム90」「プルトニウム239」などです。

 

 

「ウラン」

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ウランの特徴

  • ウラン鉱石の埋蔵量が多い国は、埋蔵量の多い順にオーストラリア、カザフスタン、カナダ、南アフリカ、アメリカ合衆国(北朝鮮の埋蔵量がオーストラリア以上という見解もある)
  • ウラン鉱石中に含まれる天然ウランのうち、その約0.7%が「ウラン235」であり、ウラン235は核分裂をする。ウラン235の割合を3〜4%まで高めた核燃料を用いて、原子力発電を行って電力を得る
  • ウラン鉱石中に含まれる天然ウランのうち、その約99.3%が「ウラン238」
    • ウラン238はそのままでは核分裂を起こさないが、ウラン238に中性子を衝突させるとβ崩壊を経て、強い核分裂性をもつ「プルトニウム239」となる。プルトニウム239は強い発がん性があり極めて毒性が高く、また、プルトニウム239を90%以上含む兵器級プルトニウムを用いて核兵器を作ることができる

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